はっぴぃはろうぃーん

オリジナルでハロウィン短編SS。
追記へGO。

キャラクター補足説明。

■ヒロくん
猫。ある程度裕福な家に飼われている雄猫。
最初はそいつ(仮称)のテンションに引いていたが今はスルースキルが上がった。
ので、腐れ縁的な繋がりのまま、現在半年ほど。
齢は3歳。
2歳くらいから散歩の範囲拡大。そして、出逢いました。

■そいつ(仮称)
作中ではそいつと表記される。
野良猫な雌猫。
お気楽で能天気でバカ。
好きなものはご近所の噂話とごはんと…まぁいいや忘れた。
齢はこちらも3歳くらい。
ヒロくんは好き。でも、　　　　　　　。

「ん？今なんて言った？」
「…んん？」
そいつの言葉はでっかい黒いものに途切れた。
ボクの頭上の橋を通る黒い、だけれど明るい光を放つものが高速で。
ヒトはそれを「電車」と言う。
でも、それってボクらには関係ないけど。
「いやー、今日は明るいし、みんなはしゃいでるしって。」
「…あー。」
「なぁにー、ヒロくんはまた理由を知ってるのですね、くっそぉ！
悔しくなんかないもんくやしくなんかないもーーーんっ！」
いや、誰も何も言ってないと思う。
「あー、でもさー。」
そいつは続ける。
「あの、なんだっけ…えーっと、くりつあ？くるすも？
…まぁいいやそのなんとかって日の方が騒がしかったかな」
「クリスマスね。」
「あー、そんな感じそんな感じ」
あ、こんな所にビービー弾。
子供はボクらを狙うから嫌いだ。
あんなのぶつけられる身になれってもんだ。
「聞いてる？」
「ごめ、全然。」
「だーかーらー、ヒロくんのおうちはこんな騒動の中どうですか？と！」
「別にー」
真似して延ばしてみた。
「あ、今日の朝ごはんはかぼちゃが多かったな」
「っそれだ！」
がばっと立ち上がるそいつ。
「そうよ、それよー！なんかですな、最近ご飯にかぼちゃみたいなのが多いんですな。」
お前はどこの誰だ。
「あと、色的に言うと橙と黒っぽかったね。
あのー、なんだっけ、もう忘れた。くろすま？とか言うのは赤とか緑だったじゃん」
「だから、クリスマス、な。」
「うん、そう」
気にしてないそぶりで、数歩歩いて戻ってくる。
こいつの癖みたいなもんで。
何処かには行かないのが良いんだけどさ。
「はぁぁあああああ」
「…何」
「溜息」
「知ってる」
「じゃなくてーぇ」
「じゃなくて？」
「ヒロくんのおうち良いなぁ」
「…何を、今更」

「だから、さ。ヒロくん家はさーお金持だし」
鈍行する列車。
「いーなーって」
止まりそうな勢いの列車はさらにゆっくりと。
前の列車につっかえたのか。
あらら、止まりそう。
もしかして、轢いちゃってたりして。
「…ふーん」
「えー、何ぃ、なんでこんな雰囲気なのさ！わけわかんなーい！」
「そうだな」
「う～、ヒロくんいつもどおりのクールっぷりですな。
台詞短いと作者が困るって誰かが言ってたー」
「…あっそ」
列車は再び動いた。
ボクらの上を通過していく。
「そうそう。ヒロくん、名前がまた変わったよ」
「どんな」
「なんと今回はさらら。確か前は柿くん、その前はナナ子だったはず。
…あれ、前がナナ子だっけ。ん？もしかしたらほーちゃんってのもあったかもしれないですぞ！」
だから、お前誰だよって言う
「ふーん…で、今回もどうでも良い訳か」
「まーねー」
にへへ、と笑う。
図太いなぁ…。

「そろそろ帰るかな」
「まってよぉおおお、ヒロくぅん」
「どこから出した声だ」
「ここからです」
律儀にさしてまで教えてくれなくとも。
ていうか、くねくねするな、微妙だ。
「本題に入らないのですが」
「寧ろ、お前がそらしてるとボクが思う」
「そぉーんなことないってばー」
「そーんなことあるってばー」
「なんで棒読みなの、ヒロくんっ！あ、そうじゃなくて！」
「じゃなくて、何。」
「とりっく、おあ、とりーと！」
「…は？」
「だーかーら、とりっく、おあ、とりーと！」
「どこで覚えたんだよ」
「どこかのこーこーせー」
呆れる。
何を言い出すかと思えば、トリックオアトリート。
妥当っちゃ妥当。
だって、明日に言われても困るし。
でも、それでもさ。
「それで、何がほしいのさ」
「ほわっと？」
「お菓子目的か？」
「え？！お菓子くれるの？」
「…意味知らなかったのか？」
「だって、こーこーせーがー」
「……分かったよ」
「ほ、ほぇ？」
そっと近づく、近づく。
身構えるそいつにさらに近づいて。
　　　「ハッピーハロウィン」

「え、それだけ？」
「…だって、ボクも実質意味知らないし」
「あはは！ヒロくんかーわいっ」
「悪かったな」
「いーじゃんか。意味知らなくても。」